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最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)5506号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人甘糟勇雄、同芦田浩志の上告趣意第一点は、「軽犯罪法一条三一号は犯罪類型を法文自体において明確にせず、法の運用をつかさどるものの主観的判断によって殆んどいかなる行為をもこれを刑罰の対象たらしめることができることになるから、罪刑法定主義の原則に反し憲法三一条に違反する」というが、同条号は、それ自体において犯罪の構成要件を明らかにしていると認められるから、所論違憲の主張はその前提を欠くものであり、

同第二点は、原一、二審で主張しない主張(刑法三五条の正当な行為であるとの主張を為したことは認められない)を前提とする単なる訴訟法違反の主張であり、同第三点は、判決に理由を附さないとの単なる訴訟法違反の主張であり、同第四点は、原一、二審判決の認定しない事実関係を想定しこれを前提とする単なる訴訟法違反の主張であり、同第五点は、事実誤認の主張であって、すべて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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